飲食店開業に必要な消防手続きまとめ|届出の種類・防火管理者・居抜き物件の注意点

飲食店の開業準備は、物件探し・内装・メニュー・保健所の営業許可と、やることが山積みです。そのなかでいちばん後回しにされがちなのが「消防」の手続きです。
しかし消防の届出や必要な設備が間に合わないと、消防署から是正を求められ、工事のやり直しや開業日の延期につながるおそれがあります。開業日がずれれば、家賃と人件費だけが出ていく期間が延びることになります。できれば内装工事の契約前——物件を決める段階で、この記事の内容を確認しておいてください。
静岡・山梨で消防設備と行政手続きをサポートしているニッセー防災が、飲食店の開業で必要になる消防まわりの手続きを整理します。
飲食店の開業日が決まっている方へ。
消防の届出・設備の準備は、ニッセー防災にご相談ください。

飲食店開業で必要になる消防関係の届出
消防関係の届出の多くは、市町村(消防本部)ごとの火災予防条例にもとづいています。代表的なものは次の3つです。
- 防火対象物使用開始届出書…建物(テナント)を店舗として使い始めることを消防署に届け出るもの。飲食店の開業時に必要となることが多い届出です
- 防火対象物工事等計画届出書…条例で定める対象について、内装工事や間仕切りの変更などを行う際に工事を始める前に求められる届出
- 火を使用する設備等の設置届…条例で届出の対象とされる炉・厨房設備などを設置する場合の届出。こんろやフライヤーでも、設備の種類や規模によって要否が変わります
注意したいのは、届出の名称・対象・提出期限が、火災予防条例によって地域ごとに異なることです。「前の店ではこうだった」が通用しないことがあります。提出が遅れると開業日に影響するため、物件が決まったら早めに管轄消防署へ確認してください。
収容人員30人以上なら「防火管理者」の選任が必要
飲食店は消防法令上の特定防火対象物にあたり、法令で定められた方法で算定した収容人員が30人以上の場合、防火管理者を選任して消防署へ届け出る必要があります。収容人員は従業員の数・固定式のいす席の数・客席の床面積などをもとに計算するため、お店で掲げている定員と一致するとは限りません。あわせて消防計画を作成して届け出ることも必要です。
防火管理者になるには、防火管理講習の修了など法令で定められた資格に加えて、その店舗で防火管理の仕事を進められる立場(管理的または監督的な地位)にあることが求められます。資格の区分は、原則として延べ面積300㎡以上の建物では甲種、300㎡未満では甲種または乙種の資格者を選任できます(複合用途の建物などでは扱いが異なる場合があります)。
必要になる消防設備——小さな店でも消火器は必要
消防用設備は、テナント部分だけでなく建物全体の用途・延べ面積・出店する階・窓の状況(無窓階かどうか)などの条件に応じて、消火器・自動火災報知設備・誘導灯などの設置が必要になります。
見落とされがちなのが消火器です。2019年10月施行の消防法施行令の改正により、調理のために火を使用する設備や器具を設けた飲食店は、延べ面積にかかわらず消火器具の設置が原則必要になっています(調理油過熱防止装置や自動消火装置など、防火上有効な措置が講じられた設備・器具のみを使用する場合を除く)。「うちは小さい店だから関係ない」は通用しません。
どの設備が必要かは、店舗の面積・階・建物全体の用途などで決まります。
居抜き物件の落とし穴——「設備ごと引き継げば大丈夫」ではない
飲食店の出店でよくあるのが居抜き物件です。「前も飲食店だったから、消防設備もそのまま使えるはず」と考えたくなりますが、ここに落とし穴があります。
- 間仕切りやレイアウトを変えると、感知器や誘導灯の位置・数が合わなくなることがある
- 客席を増やして収容人員が変わると、防火管理者の選任や必要な設備が変わることがある
- 前のテナントの設備がそもそも基準に適合していなかった、または点検されないまま劣化していたケースもある
居抜きだからこそ、契約前に消防設備の現況を確認しておくことをおすすめします。契約後に改修費用が判明すると、資金計画が崩れてしまいます。
開業までのタイムライン——いつ何をやるか
- 物件を決める前…消防設備の現況と、必要になる工事・設備のあたりをつける(居抜きは特に重要)
- 内装工事の契約前…管轄消防署へ事前相談。工事等計画届出書など、工事前に必要な届出を確認する
- 工事中〜開業前…使用開始届などの届出、防火管理者の講習受講・選任届、消防計画の作成・届出、設備の設置と確認
自分でやる?行政書士に任せる?
消防の届出は、ご自身で行うことも可能です。ただし開業準備と並行して、地域ごとに様式の違う書類を調べ、消防署とやり取りするのは相応の負担です。書類の不備で差し戻されれば、そのぶん開業が遅れます。
ニッセー防災は、静岡・山梨県内初の行政書士事務所併設型の防災設備業者です。一般的な行政書士事務所と違い、消防設備の専門会社が母体なので、併設の行政書士事務所による書類の作成・提出と、ニッセー防災による設備の工事・点検を、一つの窓口で連携して進められます。
- 防火対象物使用開始届出書・工事等計画届出書などの作成・提出(併設のニッセー防災行政書士事務所が担当します)
- 消防計画の作成支援と防火管理者選任届
- 必要な消防設備の設計・設置工事・開業後の点検
また、物件の契約前に消防関係のリスクを確認する「開業前消防リスク診断」も行っています(物件が確定するまで何棟でも固定料金。現地確認が必要な場合は別途交通費)。料金の目安は行政書士サービスのページに掲載しています。
「この物件で大丈夫か」「何から手をつければいいか」という段階のご相談で構いません。お見積りは無料です。開業日から逆算したスケジュールをご提案します。
そのほかのご質問はよくある質問のページにまとめています。あわせてご覧ください。
この記事の監修者

土谷 拓也(ニッセー防災行政書士事務所 代表行政書士)
静岡県行政書士会所属(登録番号 第26171501号)。行政書士・消防設備士全類(甲種特類・1〜5類、乙種6・7類)・第二種電気工事士・甲種防火管理者。
慶應義塾大学商学部を卒業後、森永製菓株式会社で法人営業を担当。2018年に消防設備業界へ転身し、同年に消防設備士全8類と電気工事士の資格を取得。2020年ニッセー防災株式会社に入社し、2026年にニッセー防災行政書士事務所を開設。消防設備と消防行政手続きの両面から、建物の防火安全をサポートしている。
